中学生が考える環境問題

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実は改善傾向?オゾンホールの「今」

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「オゾンホール」という単語が生まれて、何年が経過したでしょうか。

地球の外側を包むオゾン層が、破壊されているという事実は、皆さんもご存じのことかと思います。

そんなオゾンホール、今の状況はどうなのでしょうか?

 

今回はこのテーマについて、探っていきましょう。

 

 

「オゾン」とは?

そもそもオゾンって何のことでしょうか?

オゾンとは、酸素原子が3個くっついてできた、O3(オー スリー)という物質です。

このオゾン、実は人体には非常に有害で危険。刺激臭もあります。

0.01~0.02 ppm:オゾンの臭気を感じる

0.1 ppm~:鼻、のどへの刺激

0.2~0.5 ppm:視力の低下

0.4~0.5 ppm:上部気道への刺激の感知

0.6~0.8 ppm:胸痛感知、咳

1~2 ppm疲労感・頭痛・頭重の感知、呼吸機能の変化

5~10 ppm:呼吸困難、脈拍増加、

50 ppm~:生命の危険が起こる

特定非営利活動法人 日本オゾン協会「オゾンハンドブック」より)

濃度によっては生命の危機にも。

しかしご安心ください。

自然界には低濃度で存在し、しばらくすると酸素分子、O2(オー ツー)に戻ります。

さらに、地上にはオゾンはほとんど存在しません。 

 

ではなぜオゾン層ができるのか、紹介していきます。

Wikipediaでは詳しく説明されていますが、ここではカンタンに紹介します。

 

まず、酸素分子が上空に登ると別々に分かれます。

(酸素原子・O となります)

その酸素原子と酸素分子がくっつき、オゾンができます。

(O + O2 ⇒O3)

できたオゾンが層となって上空10~50kmの場所にとどまるわけです。

これがオゾン層です。

このオゾン層は、地球全体を包むように存在しています。

 

 

オゾン層の役割

オゾン層は、地球上の生物にとって超重要な役割をしています。

それは何でしょうか?

答えは、僕たち人間や、すべての動物にとって有害な

ほぼすべての紫外線を吸収してくれます。

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オゾンは、上空25kmほどの成層圏に最も多く存在する

 

カンの良い人はここでお気づきかもしれません。

オゾン層が無いと、地球上の生き物が絶滅します

 

つまり、今から説明するオゾンホール。

カンタンに口に出してるけど、実は結構ヤバい現象なんです。

 

 

オゾン層が破壊される原因

さて、このオゾンホール、一体どのようにして起こってしまうのでしょうか?

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、

オゾンホールの原因は「フロン」というガスです

そしてこのフロン、驚きなのが、

もともと自然界に存在するものではなく、完全な人工物

だということです。

フロンは、冷蔵庫など、「冷やす」という役割をこなすのに最適な気体です。

1960年代ぐらいから大量に使われるようになりました。

しかもこの気体、人体には全くの無害なんです。

もちろん、当時はフロンがオゾン層をむしばんでいるとは気づかれていなかったので、お構いなしにバンバン使われていました。

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気象庁より引用)難しい化学変化ですが、図の塩素単体が空気中に存在することで、オゾンが破壊されます。

このフロンのせいで、主に南極のオゾンが破壊され、大きな穴ができました。

これが、「オゾンホール」です。

 

 

なぜ、南極にオゾンホールができるのか?

 オゾンホールが深刻化していることを表す図があります。

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オレンジ→青→白 と色が変化するにつれ、オゾンホールが深刻化しています。

さて、この図を見て、なにか気がついたことはありませんか?

そうです。これ、「南極側の視点」になっていますよね。

南極のど真ん中にあるオゾンが極端に薄くなっています。

これはなぜでしょうか?

実は、オゾンが破壊されるには、ある条件が必要となるのです。

 

◯上空がとても冷たく、大気の動きが非常に小さい

◯フロンなどの、オゾンを破壊する原因物質 

 

つまり、南極のように、非常に寒く、大気が安定している場所で、オゾンホールは発生してしまうのです。

北極では大気が非常に冷たい時期が南極に比べて短いため、オゾン層の破壊はあまり起こっていません。

 

 

オゾン層を守るために...

先ほども言ったとおり、オゾンホールができるというのは、生き物にとってかなりヤバいこと。

このことに気づいてからは、人類は素早い対策を採りました。

まず、当たり前のことですが、

フロンの生産・使用を禁止しました。

1989年には180万トンほど生産・消費されていたフロンは、1995年には50万トンほどに生産が抑えられました。

さらに、2009年ごろからは、フロンの生産はほぼ0となりました。

2020年までには、完全にフロンの生産を廃止するという目標が掲げられています。

 

さらにさらに、皆さんに朗報です。

この調子でフロン使用が禁止されると、

2060年代にはオゾンの量がほぼ回復する見込みです!

オゾン層が1980年(オゾン破壊が顕著になる前の指標となる年)の量に回復するのは、北半球中緯度では2030年代、南半球中緯度では今世紀半ば頃、また南極オゾンホールが発生する春季の南極では2060年代と予測されています。

気象庁より引用)

 

 

 フロンが生産中止になったことで生まれた新たな問題

さて、フロンが使われなくなることで生まれる新たな課題があります。

フロンの代わりに使うガス、つまり

代替フロン」と呼ばれるものです。

この代替フロン、一体何が行けないのかというと、

地球温暖化を促進してしまいます。

 

温暖化をすすめる気体として有名な

二酸化炭素の数百〜数万倍の温室効果があります。

つまり、フロンを使わなくなったのはいいけど、代替フロン地球温暖化の原因になるという状況です。

世界全体では、この「代替フロン」の生産も無くしていこうとする動きもあります。

 

 

いかがでしたか?

みなさんが懸念しているオゾンホールの拡大、実は今、回復に向かっています。

【悪化している環境問題もあれば、現在は改善している環境問題もある】

このブログでは、そんな「環境問題の今」を詳しくご紹介していきます。

それでは、次回もお楽しみに!

 

 

今見つめるべき環境問題#3~2020/08/04~

 

 

【参考文献・サイト】

気象庁 | オゾン層・紫外線の知識

https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/ozonehp/3-1ozone.html

フロンとは (METI / 経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/ozone/outline_dispotion.html

使って楽しい・見て楽しい | PAKUTASO

https://www.pakutaso.com/